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Team FURUNO 春の東京湾でマダイを狙う!

今回の狙い 「マダイ」

時期
2017年5月初旬
場所
東京湾
天気
快晴
使用艇
ベイファイター( YAMAHA UF-26CC 26f )
使用機材
マルチファンクションディスプレイ NavNet TZtouch、マルチビームソナー DFF-3D、オートパイロット、レーダー
メンバー
  • FURUNOフィールドテスター 小野信昭氏
  • ベイファイターキャプテン 宇田川昭彦氏
  • FURUNO代表アングラー 関根英介氏

1年の時を経て、マダイへのリターンマッチ!

ベイファイターはボートフィッシングに適したセンターコンソール艇であり、マリン電子機器も満載のスペシャル仕様だ

前回、兵庫県明石海域にてマダイを狙ったものの不発に終わり、悔し涙を流したのが昨年(2016年)のゴールデンウイークのこと。あれから1年、場所を関東へ移し、マダイへのリターンマッチが行われた。

メンバーは私以外に前回一緒に涙を飲んだ関根氏、そして、今回乗船するボート、ベイファイター 宇田川キャプテンも強力助っ人として加わってくれ、この3名の布陣でマダイに挑むことになった。
6時、ベイファイターは横浜ベイサイトマリーナを出航し、東京湾湾口を目指した。

  • 取材当日、マリーナにて美しい日の出を見ることができた。何か良いことがありそうな予感がした
  • 曳波を立てないようにマリーナ内を航行していく。これから始まるドラマの序曲のような印象だ
  • 目的の釣り場へはオートパイロットにて航行した。乗船者は操船から開放され、見張りに励むことができる

マダイらしき反応を見つけて、実釣スタート!

マルチビームソナーによる魚探映像はアングラーのモチベーションアップにも一役買ってくれる

空は快晴、海はベタ凪という好条件の中、航程約15分で観音崎の手前、旧第三海堡付近へ到着。船速を3ノット程度にスローダウンした。
ここからは魚群探知機を使ってマダイらしき反応を探していくが、ベイファイターには最新のマルチビームソナーが装備されおり、真下方向以外にもサイド方向つまり右舷側および左側の海中の情報も同時に得られるので、自船に対する反応の方向性が明確となることが何より嬉しい。

5分ほど海中を探索したところで、右舷側の魚探映像にマダイらしき反応を発見。中央部(ボート直下)でもその反応をキャッチできるようボートの位置を修正し、実釣スタート。
このようにマダイらしき反応を捉えたうえで仕掛けを降ろすと、すぐにヒットするのでは?と仕掛けの降下途中でも心臓がバクバクして興奮する。

  • ご覧のとおり、風もなく、波もない。でも、アタリもない沈黙の海が持続した
  • 3方向(左舷側、中央、右舷側)からの海中の情報が得られるので、自船に対する反応の方向性が把握できる

長潮、そして潮止まり

着底と同時にリトリーブ(巻き上げ)へ移行し、まずはセオリー通り1秒間に約1メートルの速さでタイラバを浮上させ、魚探に映ったマダイらしき反応の3倍くらいの高さ(この時は約15 メートル)まで達した時点で再び降下させる。
このアクションの繰り返しがタイラバ釣法の基本となるが、リトリーブの速さがこの釣りでは肝心で、当日の状況に合った速さを見つけ出す必要がある。
1秒間に0.5メートルというゆっくりなリトリーブから1秒間に2メートルという速いリトリーブまでいろいろ変えてみたものの、一向にアタリが届かない。
別の反応を求めて移動しても、アタリもないまま時間だけが経過し、8時47分、満潮の潮止まりを迎えた。

今回の潮回りは干満の差が少ない長潮。さらに活性が下がると予想される潮止まりの時間となったのでこのままタイラバを続けていても釣果を期待できないと判断。一旦、マダイ狙いを休止し、内房、金谷沖へ移動しアジを狙うことにした。
移動途中、宇田川キャプテンが青物らしき魚群反応を見つけてくれ、大サバの確保に成功。マルチ魚探を備えたマルチビームソナーが威力を発揮してくれた。

  • タイラバよりも速効性のあるメタルジグに変更してヒットさせた50センチ近い良型のサバ
  • 仲間内ではハイブリッドサバと呼ぶこともあるマサバか? ゴマサバか? 判別が難しいものが釣れ上がった
  • 海面から20メートルほどの宙層に映った魚群反応の正体はサバだった。よく見ると海底付近にはマダイらしき反応もある
  • ハンドルを握らずに操船できているのはオートパイロットのおかげで、キャプテンは見張りに集中できる
  • まず始めはタングステン製100グラムのタイラバをチョイス。比重が重いことにより様々なメリットが期待できる
  • サバは鮮度を保つために神経〆を行なった上で、クーラーボックスへ仕舞った

ターゲットをアジに変更したが・・・

高根から上側に伸びているのがアジの反応だ。一箇所に留まり続けていたので底潮が流れていないと推測できる

金谷沖の高根周りではアジらしき反応をバッチリ捉えることができた。
まずはサビキ仕掛けを降ろしてみたがまったくアタリが届かない。そこで、低活性時に有利となるビシ仕掛け(天秤吹き流し仕掛け)に変更。ビシカゴにはコマセ(撒き餌)としてアジの大好物となるイワシのミンチ、付けエサにはオキアミを使用した。

しかしながら、それでも一向にアタリが来ず、お手上げ状態。
例え潮止まりの状態にあっても、コマセと付けエサを使用すれば、1尾や2尾は釣れるはず…と期待していただけに、かなりショックを受けた。
皆で協議し、アジでさえ厳しい状況ならダメ元でマダイを狙い続けた方がいいのでは・・・という結論に達し、再び、観音崎方面へ戻ることにした。

移動途中で赤潮を発生していることに気が付いた。マダイもアジも活性が低いのは潮が止まっていることに加え、赤潮発生による食欲不振なのでは?と推測したが、サバをあっさりゲットできたこととは矛盾するし、真の原因を知る術はないものか?どんなに最新の魚探を装備していても、魚の活性まではどうすることもできず、お手上げ状態であり、チーム フルノの面々に焦りの色が出始めた。

そんな中、なんとか結果に繋げたい宇田川キャプテンから「南風が吹き始めたのでボートはドテラ流しとし、過去の実績ポイント付近を広範囲に探って行きましょう!」という提案があった。
もちろん、藁にもすがりたい気持ちの私は「ハイ、お願いします!」と即答。

  • サビキ仕掛けでは見向きもされなかったので、ビシ仕掛け(天秤吹き流し)に切り替えた
  • ビシカゴにはイワシのミンチを入れ、アジを寄せるとともに活性を高めようとしたのだが・・・
  • 赤潮が発生していた。つい釣れない原因の一つと決めつけてしまう弱気な自分がいた

追い詰められていくチーム フルノの面々

「やはり、初志貫徹でマダイに挑もう!」と再び、観音崎方面を目指す面々

アングラー3人が並んだ右舷側にて風を受け、ボートを横流ししながら、しらみつぶしにポイントを探っていく作戦だ。ドテラ流しではラインが斜めに入るので、マダイの遊泳層に対しタイラバを斜めに通過させることになり、マダイに対して長時間アピールできるとともに食い付くタイミングも長くできる一石二鳥の作戦だ。

14時40分、私のロッドに待望のアタリが届いた。コツコツという前アタリの後、本アタリが届いたので軽くアワセを入れると大物ではないが重量感が伝わってきた。ところが、ハリの掛かりどころが悪かったためか? 5秒ほどのヤリトリの末、外れてしまった。
貴重なアタリをものにできなかった私にはもはや「アタリがない日もあるさ・・・」という言い訳ができなくなった。

とにかく、もう一回、アタリが欲しい・・・そう願いつつ、リトリーブの速さに変化を加えながら、竿先に神経を集中し続けた。願いが通じたのか、その30分後にも前アタリが届いた。しかしながら、今回は本アタリにさえ達しなかった。

なんて日だ!!でも、落ち込んでばかりはいられない。もしかしたら、待ちに待ったチャンスタイムなのかも、と朝イチ一投目と同じ興奮が蘇ってきた。しかしながら、現実はそう甘くはなく、再び沈黙の海に戻ってしまった。
そんな中、宇田川キャプテンから、「明日は荒れる予報だし、今日は日没ギリギリまでとことんやろう!」という嬉しい提案があった。
そうだ、釣れなくて困っているのは僕だけではなく、チーム フルノ全員なのだ。
16 時半、宇田川キャプテンがホウボウを釣り上げた。操船しつつも、頑張り続ける宇田川キャプテンの期待に応えたいという思いもあり、気合を入れ直す関根氏と私。

  • あまりにもアタリがないので、前回 (明石海峡) の釣行時と同様の結末が頭をよぎる関根氏と私
  • 宇田川キャプテンがホウボウをゲット。この1尾も当方のモチベーション維持に貢献してくれた

諦めない心で粘り続けた結果

海底から約5メートルの範囲に映っている点々の反応の中にマダイも含まれると推測し、仕掛けを下した チーム 一丸となって夕方まで頑張り続けた結果なので、皆、達成感溢れる表情だった

10分後、宇田川キャプテンから「ポイントの流し替えを行ないます」という声が掛かった。
「あれ~、せっかくホウボウが釣れ上がり、このポイントでも魚の活性が上がり始めたかもしれないのに、移動しちゃうの~?」なんて、内心思った。
でも、キャプテンの考えが絶対の船上。名残惜しい気持ちがあったので、いつものような高速回収ではなく、徐々に加速していくようなリトリーブで回収することにした。タイラバを10メートルほど巻き上げたところで、竿先に荷重が加わった。

「あれっ、もしかして?」と思っていたら、重量感とともに生体反応が竿先に届いた。
ストロークの長い縦の引きは紛れもなくマダイのもので、重量感もあるのでそれなりのサイズのはずだ。
バラしたくない、何が何でも取り込みたい。でも、決して無理はできない。風に押されてボートが流れることで魚の重量以上にラインにテンションが掛かってしまう。
一進一退の攻防が2分間ほど続き、宇田川キャプテンも操船にてアシストしてくれたおかげで最後は力尽きたマダイがポッカリ水面に浮かび上がった。
タモ網による取り込みが成功した瞬間、船上は興奮のルツボと化し、チーム全員とガッチリ握手。皆で喜びを分かち合った。
先程まで悲壮感が漂っていた船上だったが、1枚のマダイが皆に笑顔をもたらしてくれた。
マリーナへ戻る際に見た皆の表情は達成感に溢れ、チーム一丸となって夕刻まで頑張り続けて本当に良かったとつくづく思った。

Text: 小野 信昭氏 / Photo: フルノスタイル編集チーム