HOME 魚探ラボ Team FURUNO 人気三大魚種を1日で仕留める!
魚探ラボ
ボートフィッシングの魅力の一つとして気の向くままにターゲットを変更できる点がある。
その分、ターゲットに見合ったポイント(釣り場)探しや、ボートの流し方、タックルのセレクト、釣法変更などに対応する必要があるが、そもそもそれを攻略することがボートフィッシングの醍醐味であり、狙いどおりに複数の魚種をゲットできた時には達成感や満足度が大きくなる。
という訳で、今回は「東京湾の人気三大魚種を1日で仕留める!」というハードルの高いオーダーが出された。「なぁーにFURUNOの魚探を使えばきっと達成できますよ!」と強気の返答をしたものの、結果や如何に。
メンバーは前回と同様に私とFURUNO代表アングラーの関根氏、そして、今回乗船するボート、ベイファイター 宇田川キャプテンも強力助っ人として加わってくれ、この3名の布陣で挑むことになった。
“人気三大魚種”というのはそもそもアングラーによっても感じかたが異なるし、魚種が豊富な東京湾では季節によってもその人気が変わっていく。そこで今回は秋~冬にかけての人気魚種の一例としてシーバス、アオリイカ、そしてマダイを選定し、ターゲットに設定した。
6時過ぎ、横浜ベイサイドマリーナの桟橋に係留した船上にてこれら3魚種をどうやって攻略していくかの作戦会議を行なった。
ターゲットごとに釣り場も異なればボートの流し方も変わってくる。特に湾口部分が狭い東京湾では潮汐による潮流もボートフィッシングの計画を立てるうえでは大切な要素となるためだ。
出航時点では幸いにも晴天、凪という好条件だが、いつ悪化し、沖上がりを余儀なくされるかもわからないのが海の天気だ。そう考えると、比較的釣りやすい魚から狙って行くのが定石だ。つまり学生時代の試験で易しい問題から確実にポイントを稼いでいくのと同じである。
という訳で、宇田川キャプテンが提案したシーバス → アオリイカ → マダイの順番で狙っていくことを決定し、岸払い。
まずはシーバスを狙うために富津沖へ向かった。航程15分ほどで到着したのは富津岬南側のエリアだ。実のところ、東京湾でシーバスを釣ろうと思ったら工業地帯のストラクチャー周りが手っ取り早いが、今回は魚探をフル活用することを前提に敢えて難度が高いオープンエリアで挑むことにした。オープンエリアでのシーバス攻略で指針となるのはやはりベイトフィッシュの有無であり、宇田川キャプテンがベイファイターに装備されている最新のマルチビームソナーを使って海中を探索していく。
マルチビームソナーは真下方向以外にもサイド方向つまり右舷側および左舷側の海中の情報も同時に得られ、自船に対する魚群反応の方向性が明確となるので、すごく強力なアイテムだ。
3ノット程度の船速にてボートをすすめ、あっという間にベイトフィッシュの反応をキャッチし、スタートフィッシングの合図が出された。
釣り場の水深は約10メートル。ベイトフィッシュが付近一帯を回遊しているので、ミノーをキャストしリトリーブにて表層から宙層にかけて探って行く。
「大きなサイズの単体魚の反応が出ていますよ!! 87センチ、88センチ!!」と宇田川キャプテンがアナウンスしてくれ、船上のボルテージがどんどん上がっていく。
3投目でルアーを追って来るシーバスを目視確認できた。再投入してリトリーブの速さを変更するもなかなかバイトには持ち込めない。シーバスがルアーを見切っているのかもしれない・・・という不安があったが、ルアーを交換せず別のシーバスを攻めるべく魚探で新たなベイト反応を探しながら何度かポイントを移動した。
小一時間ほど経った頃、ようやくフッキングに持ち込めた。貴重な1尾なので慎重にヤリトリしてタモに収まったのは60センチ弱のものだった。
ビッグサイズとはいえないが、オープンエリアで仕留めたことが何より嬉しく、その魚体は惚れぼれするような美しさだった。
サイズアップを狙ってその後も30分ほど粘ってみたが、ノーバイト。
潮止まりの時間となってしまったのでこれ以上時間を掛けるのは得策ではない・・・という結論に達し、次のターゲットであるアオリイカを求めて、ボートをさらに南下させた。
途中、浦賀水道を抜けたあたりから風がやや強まってきた。
宇田川キャプテンが案内してくれたのは竹岡沖の実績ポイントで、魚探で水中を確認すると砂地に根が点在しており、アオリイカ以外にもコウイカ類も生息していそうな魅力的なポイントだ。
水深は20メートル弱なのでティップラン釣法にて狙える釣り場だったが気になるのは南西方向から吹き付けるやや強い風。ティップラン釣法は風や潮に任せてボートを流すいわゆるドテラ流しで行うものであり、あまりボートが速く流れてしまうと釣りにくくなってしまうのだ。
これ以上、風が強まらないで欲しいと願いつつ、実釣スタート。
ロッドアクションにてエギに動きを与えた直後にステイ(静止)させ、アオリイカの乗りをティップ(竿先)の動きから捉えることになる。
20分程経過した頃、宇田川キャプテンがコウイカを釣り上げた。
海底付近に棲息するコウイカをゲットしたということはこの強い風の中でもエギがちゃんと海底付近を狙えているという証拠だ。
さらに20分後、私が持つロッドのティップがわずかに動いた。間髪入れずにアワセるとロッドが大きな弧を描いた。「気持ちいい~これぞティップラン釣法だ~」なんて心の中で感じつつもヤリトリに決して余裕はなかった。上がってきたのは待望の本命アオリイカ。
これにて2つめのターゲットをクリア。いよいよ第3のターゲット、マダイに挑むために観音崎方面へ戻ることにした。
先着のボートの中に宇田川キャプテンの仲間が居たので釣況を確認すると、ぜんぜん釣れていないとのこと。
暗雲が立ち込める情報に一同顔が引きつるが、前回のように最後の最後でドラマが起こるというケースもあるので諦めるわけにはいかない。まだ時間はたっぷりあるし・・・。
釣り場の水深は40メートル弱。魚探に映し出される海底地形とマダイらしき単体魚の反応を見ながら、ここだと思うポイントを絞り込み、タイラバ釣法での実釣スタート。
シーバス、アオリイカとクリアできたので、ここまで来たら何が何でも第3のターゲットとなるマダイもクリアしたい。そんな思いから、タイラバ釣法の鉄則である”タッチ&ゴー”を心掛けた。つまり、ジグを降下させ着底したら間髪入れずに巻き上げに移行するのだ。またフォール中もジグをマダイにアピールするために丁寧にサミングしてスローでフォールするよう心掛けた。
その甲斐があったのか? 開始から小一時間経った頃、コツコツというアタリが届き、その後の食い込みにてフッキングも成功し、マダイが釣れ上がった。サイズは30センチ弱ではあるものの本命マダイであり、船上は大いに盛り上がった。
時間も残っていたので「次は自分が写真映えするサイズを釣り上げてやる~」といわんばかりに、関根氏も宇田川キャプテンもモチベーションのスイッチが入った模様。皆、真剣にフォール&リトリーブを繰り返した。しかしながら、無情にも再び沈黙の海に戻ってしまった。
何度かポイントを変えつつ、手を尽くしたものの大きく日が傾いてきたので16時にストップフィッシング。
釣り上げた魚のサイズには多少の不満はあるものの、当初の目標にあった人気三大魚種を1日で仕留められたことで大きな達成感が得られたのはいうまでもない。
ボートフィッシングは冒頭でも書いたとおり、ポイント探し、実釣時のボートコントロール、釣り自体のテクニックの3つが揃わないとなかなか結果に結び付かないハードルが高い遊びだ。中でも最重要課題となるのがボート上に居ながらにしてターゲットが棲息するポイントを探し出さなければならないという点だ。
この最重要課題をクリアするのに欠かせないアイテムが魚群探知機であり、それを使いこなすことが不可欠だ。
今回、人気三大魚種をゲットできたのも宇田川キャプテンによるところが大きく、感謝の気持ちでいっぱいだ。
次なるチーム フルノに課せられる目標は何なのか? 大変気になるが、これからも優れた魚探により難題にチャレンジしていきたいと思っている。乞うご期待!!
Text: 小野 信昭氏 / Photo: フルノスタイル編集チーム