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魚種ごとの反応

アカハタを追う vol.6

今回はFCV-800にCW(連続波)タイプの送受波器(525-5PWD)とチャープタイプの送受波器(B150M)を同時に接続して得た探知画像を元に解説していきます。
この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

 GPS魚探映像:アカハタを追う vol.6 チャープとエコー色拡張機能により海底と魚の識別能力が格段に向上します

この魚探画像は、船首に装備したエレキモーター(IPILOT)によってボートを0.5ノット程度の船速で走らせながら撮影(画面キャプチャー)したものです。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深7.76メートル
  • 海底底質がRCKS(岩)からSAND(砂)に変化した
  • 海底付近に魚群と単体魚が存在する

このGPS魚探画像はアカハタ狙いのポイント付近で撮影したものとなります。

アカハタは岩礁やゴロタ石などのストラクチャー周りに棲息し、エビやカニといった甲殻類や付近に棲息する小魚を捕食します。スキューバダイビングで生態を観察してみると、同じハタの仲間のマハタやオオモンハタはストラクチャーから離れた砂泥地や中層を泳ぐこともあるのですが、アカハタはストラクチャー周りから離れたりすることなく、また宙層を泳ぐこともなく、いつでも身を隠すことのできる場所から離れようとはしない行動が目立ちます。

アカハタに限らず宙層を泳ぐことのない魚を魚群探知機で探すのはなかなか難しいのが現実で、その理由は海底によって反射したエコーと海底付近の魚によって反射したエコーの時間差が小さいためにそれぞれを分離するのが難しいことに起因します。
とはいえアカハタも常に海底を這っている訳ではなく、小魚を捕食する際や、岩礁から別の岩礁へ移動する際には海底から離れて泳ぎます。但し、離れるといってもせいぜい1メートル程度だとダイビングで観察していて感じています。

今回使用したFCV-800での表示はチャープ機能により高分解能でノイズが少ない探知結果が得られることで海底と付近の魚を分離しやすくなり、さらにエコー色拡張機能を設定することで両者が同一色に塗りつぶされずに済みました。具体的にいうと画面内の海底ラインが概ね黄緑色で連なって表示されているのに対し、魚群や単体魚は別の色(赤や紫色)で表示され、明確な違いとして認識できるようになっています。
画面に表示されている単体魚をアカハタだと言い切ることはできませんが、海底付近に分布する魚の存在を認識できるようになったことは実釣においても大きなアドバンテージとなること間違いありません。

  • 釣果写真:アカハタを追う vol.6 SLJ(スーパーライトジギング)でゲットした35センチ級のアカハタ
  • 水中写真:アカハタを追う vol.6 岩礁帯に分布するアカハタ。遊泳層は海底からせいぜい1メートル程度

この映像は水深18メートルほどの海中で撮影したもので、根(岩礁)周りで見かけた体長30センチ級のアカハタです。この撮影時は潮の流れがやや速く、画面の右側から左側へ潮が流れていることが浮遊物の動きからもおわかり頂けると思います。
5分間ほどこのアカハタを観察しましたが、この場所から離れようとはしませんでした。その間、摂餌活動するわけでもなかったので、潮流が速すぎることを嫌って、やや潮流の緩いこの場所に逃げ込んでいるようにも思えました。アカハタはこの映像のような険しい岩礁地帯や根際の砂地に分布し、付近に棲むエビやカニなどの甲殻類を好んで捕食します。実釣時は仕掛けの海底への根掛かりを注意しながら釣る必要があり、そのためにも潮の流れる方向や速さの把握、さらにボートの流れる方向や速さについても考慮する必要があります。アカハタ自体はエサを食った直後に根に潜り込む習性もあるのでフッキング後はアカハタに主導権を渡さぬようヤリトリしましょう

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。