魚種ごとの反応
この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?
風と潮に任せて時速0.4ノット程度の船速でドテラ流しを行いながら撮影(キャプチャー)したもので、魚探から発信する超音波の周波数は画面左側が50キロヘルツ、右側が200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。
このポイントではティップラン釣法にてアオリイカを狙いました。
ポイント選定は画面内に映っている水深、海底地形、底質、そして魚群反応が決め手となりました。
過去の経験から10月から11月にかけてのアオリイカは水深20メートル付近で釣れることが多いのでまずはその水深付近で魚探を使って水中を探索し、ベイトフィッシュらしき魚群を見つけたことでアオリイカも近くに居るはず…と推察しました。
ティップラン釣法を行う上でのボートコントロールとしては風と潮に任せるドテラ流しが一般的です。
餌木を着水から着底までの間にラインを送り込むことで餌木からボートまでの距離がどんどん離れていくことになります。その後、ジャークによって餌木に動きを与えたり、一旦ステイさせたりを繰り返すことになります。
この一連のアクションにおける餌木の位置はボートの真下ではなく、ボートから離れた位置となり、概ねボートが辿ってきたコース上をトレースすることになります。
つまり魚探画面に映し出されるボート直下の最新情報と餌木が存在している位置ではズレが生じていることになります。
餌木をフォールした直後はラインがあまり斜めに入っていないので魚探画面右側の最新情報でもほぼ一致がはかれていますが、時間の経過とともにラインが斜めになっていく過程ではボート直下の最新情報と餌木が存在している位置ではズレが大きくなってしまいます。その結果、魚探の表示内容を鵜呑みにして餌木が海底を引きずったり、根掛かりさせてしまうことにも繋がります。
対策としてはラインが斜めになるにつれ、魚探画面の見るべき部分を画面右端の最新情報ではなく、画面左側に追いやられていった過去の情報表示部分へと目を向ける必要があるのです。それが現在、餌木が存在している付近の海中の様子ということになります。(説明図参照)
アオリイカはベイトフィッシュを求めて下層から上層まで泳層が変化するので、魚探に映し出されるベイトフィッシュの泳層を意識したタナ取りが有効なケースが見られます。
その際に前述した過去の情報表示部分のことを考慮すると、アオリイカにより近づけるだけでなく、餌木の根掛かりの回避にも繋がります。
FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター
北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。