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魚種ごとの反応

ヒラメを追う vol.1

エサ場探しから

ヒラメを追う vol.1 平根の合間に身を伏せるヒラメ。小魚(ハナダイの仲間)をにらんでいるように思えた。

ヒラメは水深1mほどの波打ち際でも釣れるし、100mを越す中深場でも釣れ上がることがある。水深に対する分布範囲が広い魚だ。1年周期、つまり季節の移り変わりに伴う水温の変化で生息する水深を変えていくことも確かにあるが、一日という短い周期においても水深を変える理由がある。つまり時間帯によって居場所となる水深を大きく変えるのだが、それはヒラメがフィッシュイーターであるからにほかならない。好物となるイワシなどの小魚を追って行動するためだ。

朝方、イワシは浅い沿岸付近を回遊するが、それを求めてヒラメも浅場へやってくる。日が高くなるにつれ、イワシは水深のある場所へと移動し、さらに表層から宙層へと回遊層を変えていく。いくら底物の中では比較的泳力のあるヒラメでも、一日中、回遊を繰り返すイワシばかりを追い続けるわけではない。日中は比較的捕食しやすい移動の少ない小魚へとターゲットを切り替えるのだ。例えば、根や障害物周りに群れている小アジや小イカ類がエサとなる。つまり、日中にボートフィッシングでヒラメを狙う場合には、移動の少ない魚、つまりヒラメが補食しやすい魚のいる場所を攻めるのがセオリーになる。

小魚の反応周辺を丹念に攻め歩く

ヒラメを追う vol.1 岩礁や藻場などの根際はジャンボギスの寄り場。外道の猛攻と根掛かりに耐える根性も必要だ。

スキューバダイビングでヒラメを観察すると、根や障害物周りで小魚に狙いを定めているヒラメに遭遇することがある。
水中画像は南房総(千葉県)でのダイビングで撮影した。体長80cmほどの大ヒラメ。海底に這いつくばり、身を隠しつつ捕食のチャンスを伺っている状況だ。
しかしながら、どんなに肉厚な大ヒラメであっても、そしてどんなに高精度な魚群探知機を持ってしても、海面に浮かぶボートから発振した超音波でヒラメの存在をキャッチすることなどできはしない。
つまりヒラメのポイント探しは、魚探を使ってエサとなる魚を探すことに尽きるのだ。それ自体は意外と簡単であり、意外と身近な場所にヒラメは生息している。

ボートをゆっくり進め、魚探で海中の小魚の群れを探す。その際、宙層を泳ぐ群れではなく、海底付近の群れを探す。
超音波の周波数はできるだけ高周波のものを使用したほうがいい。高周波のほうが海中に発振する角度が狭く、ボートの真下付近の情報のみがえられやすいためである。
ボートが群れの上を通過すると魚探画面からその反応は消えるが、GPSの航跡、山ダテなどによってポイントに入りなおしてみる。魚探に再び同様の反応が表示されれば、その魚群は海中で1ヶ所に留まり、ジッとしていることになる。つまりヒラメが補食しやすい魚群であることが判明するのだ。
魚探画像はヒラメを目撃した付近の海底の様子である。平根で海底から2mの範囲内にベイトフィッシュとなりえそうな小魚の反応が映っている。その反応の上にうまくボートが止まるようにアンカリングするもよし、その反応から外れないように操船しながら流して釣るもよし。

ともかく、垂らしたヒラメ仕掛けがその群れから大きく外れないようにボートをコントロールすることが大切だ。そんなときは、小魚を足止めするためコマセを使ったサビキ仕掛けも有効な一手となる。エサ釣り(お土産釣りも兼ねて)と、足止めの一石二鳥というわけだ。ぜひとも身近な大型高級魚ヒラメにチャレンジしていただきたい。

記事:小野信昭さん 協力:隔週刊つり情報

海底の砂に似た色、模様に擬態している60センチ級のヒラメの映像です。映像の左上には捕食の対象となる小魚類(キンメモドキ)が群れており、タイミングをみて襲い掛かる瞬間をとらえています。
海底に這った状態から襲いかかるので、勢いをつけるために身体の縁側部分(背ビレ、腹ビレ)をくねらせるので捕食の予兆がわかります。しかしながら、襲いかかるスピードが速く、カメラで追うことができなかったので実際に小魚の捕食に成功したのかは残念ながら不明です。ヒラメは海底に這っているので魚探で捉えるのが困難ですが、捕食対象となる小魚類が群れている場所を探すことでその近くにもヒラメが存在しているという推測のもと、棲息ポイントをある程度絞り込むことができます。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。