魚種ごとの反応
このGPS魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?
ボートは船速2ノット程度で走らせながら画面撮影(キャプチャー)したもので、魚探から発信する超音波の周波数は画面左側が50キロヘルツ、右側が200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。
このGPS魚探画面はカサゴ狙いのポイントを探している最中にボートを走らせながら画面撮影したものです。
カサゴは岩礁帯や捨て石、障害物周りに棲息し、その遊泳層は海底付近となるので魚探でカサゴそのものを見つけるのは難しいのが実状ですが、GPS魚探があれば棲息場所を探すことも比較的容易に行えます。
実釣時間を少しでも長く稼ぐためにも出航前からポイントの目星をつけておいた方が良く、そんなときに役立つのがGPSプロッターのチャートで、特に等深線の細かな情報が盛り込まれているnew pecチャートはポイント探しにも大きな効果を発揮してくれます。
画面左側のGPSチャート部分には自船位置や等深線はもちろんのこと、瀬の名称や暗岩の情報も表記されています。
カサゴは前述したように岩礁帯などの障害物周りに棲息するので瀬や暗岩付近に多く分布している可能性が高く、大まかなエリアを特定する有効な指針となります。むろん、危険界線や暗岩については近づき過ぎないよう航行に際しては細心の注意を払う必要があることはいうまでもありません。
現場ではGPSチャート情報だけではなく、魚探によって捉えた海中情報も併せてポイントを絞り込みます。
その際にはGPSチャート上に航跡を残しながら航行し、魚探画面にてカサゴが棲息するであろうポイントを見つけ出すことになります。
ボートを一定のスピードで進め、魚探画面から得られる水深、海底起伏、さらに海底ラインから下側へ伸びる尾引きなどの情報に注目します。
その際の船速は2ノット(人が歩く速さくらい)程度が望ましく、それはココだ!!と思うポイントにて即座に停止できることや、水深が浅い場所で起こりがちな水面付近の泡による魚探表示への悪影響を抑えるうえでも有効です。
自船の航跡を残すことは網羅的にポイントを探すうえでも有効であり、また通り過ぎたピンポイントに戻るうえでも有効となります。
険しい岩礁地帯では根掛かりに注意しながら、カサゴの目の前にエサを落とし込んでいく必要があります。また、アタリが届いてからはカサゴに根に潜られないよう速やかにカサゴを根から引き離す必要があります。
1尾でもカサゴが釣れ上がったポイントには複数のカサゴが分布しているはずなのでGPSプロッタ上に登録してそのピンポイントを攻め続ければ追釣可能です。
しかしながら、ここで注意して頂きたいことがあります。
カサゴ類は海中での移動が少ないうえに成長が遅い魚なので、一箇所のポイントを集中的に攻めると釣り尽くしてポイントを枯らしてしまうことにもなりかねません。そうならないためにも資源保護を意識した釣りを心掛けて頂きたいと思います。
根際の砂地でジッとしているカサゴの映像です。カサゴには多くの種類がありますが、この映像のカサゴが最も浅い沿岸部に棲息する身近なもので、標準和名カサゴという魚種になります。カサゴ類は水深の違いにより他の種類のものが釣れ上がることが多く、魚種によって棲息する水深が異なることを実感できます。
カサゴ類の食性は甲殻類や多毛類、さらには小魚を捕食するので、それらが集まりやすい岩礁(根)地帯やその周辺の砂泥地が主な棲息場所となります。映像にあるようにカサゴは普段、海底に這った状態にあることが多く、魚群探知機でカサゴそのものを見つけるのは困難なので、ポイントは棲息していそうな水深、海底底質、海底地形から探す必要があります。この映像では点在する根と根の間の砂地にジッとしていますが、根のてっぺん(頂上)付近に居ることも多く、根の凸凹を丹念にトレースしながら探っていく必要があります。その際は根掛かりにも注意が必要で、ヒット後には根の隙間に潜られないように速やかに根から引き離す必要があります。
FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター
北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。