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魚種ごとの反応

クロムツを追う vol.3

このGPS魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

クロムツを追う vol.3 GPS魚探映像 海底から約20メートルの範囲に映っている魚群にクロムツも含まれていると考えられる

時速1.1ノット程度の船速で魚探を見ながら操船し、流し直しのポイントを探っている時に撮影(キャプチャー)した画像です。
魚探から発信する超音波の周波数は50キロヘルツで海中を探知したものとなっています。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深232.6メートル
  • 海底ラインから水深が30メートルほど変化している
  • 海底から約20メートルの範囲に魚群反応がある

このGPS魚探画面は深場の五目釣りの合間に撮影したもので、当日の釣果はクロムツがメインでした。
魚探画面の設定では減衰が少ない低周波(50キロヘルツ)での探知結果を表示していますが、この程度の水深(232.6メートル)なら、出力600ワットの魚群探知機で送受波器をスルーハル方式で装備していれば高周波(200キロヘルツ)においても海底を捉えることが可能です。

しかしながら、実釣においては海底地形を捉えるだけでなく、海底付近に存在する魚群の発見が欠かせないので、周波数は低周波を使用するとともにゲインをマニュアル(手動)にてシビアに調整しました。
使用するGP-1971Fでの具体的な操作手順を説明すると、「Fishing」モード(自動)からマニュアル(手動)に切り替え、その後で実際に画面に表示される反応画像を見ながらシビアにゲイン調整を行ないます。

今回は「+87」に設定することで、海底から約20メートルの範囲に分布する魚群を明確に捉えることができました。
とはいえ、この魚群を構成する魚種まではなかなか特定できないのでその正体を知ろうと思ったら仕掛けを降ろしてみるしか方法がありませんし、そのためには画面に映った魚群反応に仕掛けを命中させなければなりません。
そこで活用したいのがGPSプロッタです。プロッタのチャート(海図)上には現在の自船位置とこれまで通って来た航跡が記されています。
GP-1971Fでは魚探画面をスクロールバックし、過去の魚群等の反応部分をタップすることで、GPSチャート上の航跡を遡り、その反応を捉えた時の自船位置をポイント登録できる便利な機能があります。

この機能は自船が反応を通過した後でも過去に遡ってポイント登録できるので、操船中や実釣途中でポイント登録しそびれても後からポイント登録できる便利な機能です。
画面上のポイント「PT24」は現在の自船位置に来てから魚探画面上の魚群反応のはじまりの位置をタップし登録したものです。
魚探画面を見ると右端の最新情報部分にまで魚群反応が続いているので、チャート上のPT24位置から現在の自船位置まで魚群が続いていると推測できます。

ただし、実際には指向角の範囲内に魚群が存在していれば画面に表示されるので、その点を考慮して仕掛けを降下すれば、魚群に命中させやすくなるでしょう。
なお、水深200メートル以深では仕掛けの降下に約3分間かかるのでそのことも考慮し、仕掛けを降下するといいでしょう。

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水深20メートルほどの魚礁周りで見つけた体長15センチほどのムツの群れです。ムツは仔魚から幼魚までは内湾の岩礁帯や潮溜まりで生活し、成長とともに深みへ移動する魚です。この映像ではムツの群れの中にアジやネンブツダイも混じっています。
現在はムツ科ムツ属にはムツとクロムツの2種があり、両者の判別は魚類研究者でなければ困難といわれるほど酷似しています。強いてあげれば、違いは体色くらいであり、ムツは金紫褐色、クロムツは黒紫褐色となります。しかしながら、水中で観察しても体色は判別しずらいので、本サイトでは赤ムツに対抗して黒っぽいムツということでクロムツと表記させて頂きました。釣りでクロムツを狙う時には水深100メートル以深に分布する成魚を狙うことになりますが、その水深でのダイビングは困難なので浅場に分布する幼魚の生態を参考にして頂ければ幸いです。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。