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魚種ごとの反応

マハタを追う vol.1

GPS魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

マハタを追う vol.1 GPS魚探映像 昨今の魚探は底質判別、魚体長表示、デジタル処理による高分解能な表現力など、底物釣りにありがたい進歩を遂げています

ボートは0.5ノット程度でゆっくり流しながら撮影(画面キャプチャー)したもので、魚探画面は200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深26.7メートル
  • 海底形状はフラット(平坦)から凸凹形状へ変化している
  • 海底底質はSAND(砂)からRCKS(岩)へ変化している
  • 岩礁部分のすぐ上には24センチの単体魚が映っている

この釣り場では一つテンヤ釣法によりマハタが釣れました。

マハタが好んで生息するポイントは岩礁地帯、または水中画像にあるような砂地と岩礁が入り混じった場所です。

この魚探画像では海底ラインが急峻に5メートルほど上昇しているのでボートが根(岩礁)に差し掛かったことが容易に想像できますが、中には例え底質が岩であっても平根のように高低差が小さい場合もあり、海底形状だけでは正確な底質判断が困難な状況もあります。そのような場合には海底ラインの下側に伸びる'尾引き'に注目し、その長さが長い場合は岩、短い場合は砂地と判断する必要がありますが、ある程度経験を積む必要がありました。

今回使用したGP-1870Fは底質判別機能を有するモデルなので、水深や超音波の反射強度からマシン自体が底質を判別してくれます。

一つテンヤ釣法のようにボートを流しながら広範囲を探るような釣りでは、ターゲットの生息条件に適合した底質ポイントを流さないと釣れない時間ばかりが続き、大変効率が悪い釣りとなります。そうならないためにも、流すコース上をあらかじめ走航し、底質判別機能で得られた情報とGPSプロッターの航跡をマッチングさせることでターゲットに合わせた効率のいい流し釣りが可能になります。

次にマハタの魚探画面における反応ですが、マハタの泳層は海底付近で、捕食のために浮上したとしてもせいぜい5メートルまでなので、どちらかというと魚探では捉えにくい魚の一つです。しかしながら、昨今のデジタル技術の進歩によりその姿を捉えやすくなりました。この画像では岩礁部分に24センチの単体魚が映し出されています。この魚がマハタだと断定するのは困難ですが、過去に何度もこのポイント付近でマハタやカサゴが釣れたことを考えるとそれらの魚である可能性大です。

魚探は水中カメラと違い、光学的に魚を捉えるわけではないので魚種判別に関しては推測の域を出ません。それでも、同じ海域に通い詰め、釣果実績を上げることで、魚種判別の正解率が上がっていくので、推測から確信へと少しずつ近づいていくはずです。

  • マハタを追う vol.1 釣果写真 一つテンヤ釣法にて釣り上げた重量感たっぷりの40センチ級のマハタ
  • マハタを追う vol.1 水中画像 砂と岩が入り混じったポイントはマハタに限らず多くの魚が集まる好ポイント

マハタは浅場から深場まで幅広い水深の根(岩礁)周りに棲息している魚で、この映像は水深 21 メートルの平根付近で見掛けた体長 50 センチ級のものです。付近には体長 8 センチほどのクロホシイシモチが多数群れており、その群れを蹴散らすように泳いでいました。
小魚をエサにした泳がせ釣りで狙うことができますが、実際にダイビングで観察する限りでは今回のクロホシイシモチも泳ぎが速く、マハタの泳ぎに対して逃避できそうな印象を持ちました。泳がせ釣りでマハタが釣れるのはエサの小魚には仕掛けが繋がれていることで逃げ回ることができないので捕食されてしまうのかもしれません。釣り上げたマハタの胃袋にはカニやエビなどの甲殻類が多く入っていて、小魚が入っていることが少ないのはそのあたりのことが関係しているのかもしれません。それでもダイビングで多くのハタ類を観察してみると、もっとも積極的に泳ぎ回っているのがマハタという印象があります。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。