HOME 魚種ごとの反応 マルイカ(ケンサキイカ) vol.2
魚種ごとの反応
前ページに、マルイカ(ケンサキイカの幼体)を含むイカ類の共通点として、「イカには浮き袋がないうえ、体そのものが海水の密度に近い。そのため魚群探知機に反応として映らないケースも多くある」ということを紹介した。なのでボートフィッシングでイカ釣りを行う場合は、新規ポイントを探すよりも、釣果を求めるばかりに過去に実績をあげたポイントに向かってしまうことが多くなる。しかしながら一筋縄ではいかないのがイカ釣りだ。その行動は神出鬼没的なところがあり、昨シーズンの同時期釣れた同じポイントを攻めてみても、釣果に結び付かないケースだって珍しくはない。むしろ毎回新規ポイントを開拓するつもりで出航したほうが好結果を生むこともある。そうなると、さらに喜びは大きくなるのでオススメしたい。
魚探に映るマルイカらしき反応は、淡く小さく表現されることが多い。そんなとき私は、魚探機能の一つである「海底拡大表示モード」をよく使用する。通常の魚探画面は、水面から海底までの水深方向全域をディスプレイ全体に表現している。対して海底拡大表示モードは海底から数メートル上までの範囲を切り取って、画面に表現する機能だ。つまり、海底付近の様子を拡大表示するので詳細情報を得やすくなるため、わずかな変化も見落としにくくなる。
画像はマルイカが乗ったポイントでとらえた魚探画面で、超音波の周波数は200キロヘルツでの探知結果である。画面の右側半分が通常表示で、海面から海底約30メートルの水深方向全域を、画面の上下方向いっぱいに表現している。そして左側半分が海底拡大表示の画面で、海底から5メートル上までの狭い範囲を表現している。ご覧のとおり、通常表示の画面では目立たない淡く小さな反応が、明確に映し出されているのがお分かりいただけるはずだ。また、魚探の機種によっては拡大表示可能な範囲が海底のみならず「宙層領域」についても行えるシフト表示機能を有するものもあり、イカ類のほか、青物狙いなどで威力を発揮する。マルイカも活性が高まると、タナが上ずってくることがあるのでとても有効な機能であり、重宝するはずだ。とはいえ、前述したようにイカは本当に神出鬼没。とくにマルイカ、スルメイカ、ヤリイカなど群れて移動するイカに関しては過去に何度も苦い経験をさせられた。マルイカ狙いで出航し、魚探を見ながらそれらしき反応を見つけては仕掛けを下ろすも不発。ポイントを変え、再びそれらしき反応を見つけて仕掛けを下ろすも、また不発・・・・・・こんなことを5時間以上も繰り返したことがある。
「今日はダメな日に当たってしまった・・・・・・。最後に少しだけ、岸近くで餌木でもシャクって沖揚がりしよう」なんて思いながら、俗にいう最後の悪あがきを行うこともよくある。すると1投目からアオリではなく、良型のマルイカが乗ってしまったりするのだ。前半の5時間は何だったの?と思ってしまうが、これもまたボート釣りの楽しさである。まあ、いずれにしても確かにいえることは、状況に応じた対応ができるよう、多くの引き出しを持っていることが大切ということ。そのためには場数を踏み、経験値を上げるしか方法はなさそうだ。
記事:小野信昭さん 協力:隔週刊つり情報
FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター
北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。