魚種ごとの反応
この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?
画面撮影の30秒ほど前まではメバルが良く釣れた。
底質判別機能ではSAND(砂)と表現されているが、その付近にまで、メバルが好んで集まる海藻が生えていた可能性が高い
ボートは風と潮に任せてゆっくり流しながら撮影(画面キャプチャー)したもので、魚探画面左側が周波数の50キロヘルツ、右が200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。
この時はモエビをエサにしてメバルを狙いました。
メバルは根魚として知られていますが、横文字表現の多い釣りの世界ではロックフィッシュの代表格として扱われ、文字通りロック(岩礁)に棲む魚として知られています。
実際に海へ潜ってみると岩礁でなくても海藻の多い場所であれば底質が小石や砂であってもメバルは棲息しています。
それはメバルが好んで捕食する小エビやカニ、あるいは小魚が藻場に多く棲息しているためです。
この魚探画面では時間の経過とともにボートが流れ、底質がGRVL(小石)からSAND(砂)へ変化したことが表現されています。
底質判別機能では底質が解ってもその場所に海藻が生えているかどうかまでは不明です。むしろ魚探画面の海底ラインに注目した方が海藻の有無を判断できる可能性もありますが、それも海藻の種類や密集度合いによっても映り方が異なるため判別には熟練を要します。
当日、実際にメバルを釣ったタイミングはこの魚探画像を撮影する30秒ほど前でした。画面上では丁度、魚の反応が映っているタイミングで釣れ、それ以降はアタリが途絶えました。そのことからも画面に映っている魚がメバルである確率が高いと言えます。
ここで魚探の画面送りに関する説明を少々加えさせて頂きます。
魚探画面は各周波数(50キロヘルツ,200キロヘルツ)の画面右端の縦1列にボート直下の最新情報を表示し、時間の経過とともに画面が左の方へ送られていきます。この画面送りの速さは設定でき、画面上では「分時マーク」からも送りの速さが読み取れます。
分時マークは30秒毎にバーの色が反転するので、同色のバーの長さが30秒間のうちに画面が送られた長さとなります。
今回の魚探画面で説明すると、画面撮影から30秒ほど遡ったあたりで魚の反応は途絶えていて、それ以降はメバルが釣れませんでした。つまり底質判別機能ではSAND(砂)と表示されていても、メバルが好んで集まる海藻類が30秒ほど遡った辺りまでは続いていたものと推測できます。
春の訪れを感じるメバルは今が旬です。魚探を駆使して狙ってみると、釣りが一層楽しくなりますよ。
ブロック漁礁付近に群れるメバルの映像です。どのメバルも同じ方に向いていますが、映像に写っている浮遊物の動きから潮が画面の右から左へゆっくり流れていることが確認でき、メバルは潮上に向いていることがわかります。
メバルは夜行性で主に暗い時間帯に積極的に摂餌行動します。日中においても激しい濁りで水中が暗い時には摂餌行動しますが、この映像の様に透明度が高い時にはあまり摂餌行動せずジッとしている傾向にあります。このように海底から浮いてジッとしている状況なら魚群探知機でも捉えやすいのですが、活性が低いので釣るのに苦労します。
水深30メートル以浅に棲息するメバルには標準和名のシロメバル、アカメバル、クロメバルの3種があり体色の特徴で付けられた名称ですが、正しく分類するには胸ビレ軟条数を数える必要があり、この映像だけでは正確に分類できないので”メバル”という総称で紹介しています。
FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター
北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。