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魚種ごとの反応

メバルを追う vol.5

この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

メバルを追う vol.5 GPS魚探映像 画面撮影の30秒ほど前まではメバルが良く釣れた。
底質判別機能ではSAND(砂)と表現されているが、その付近にまで、メバルが好んで集まる海藻が生えていた可能性が高い

ボートは風と潮に任せてゆっくり流しながら撮影(画面キャプチャー)したもので、魚探画面左側が周波数の50キロヘルツ、右が200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深が浅くなっていきボート直下では9.5メートル
  • 海底底質はGRVL(小石)からSAND(砂)に変わった
  • 海底から約5メートルの範囲までに魚の反応

この時はモエビをエサにしてメバルを狙いました。
メバルは根魚として知られていますが、横文字表現の多い釣りの世界ではロックフィッシュの代表格として扱われ、文字通りロック(岩礁)に棲む魚として知られています。
実際に海へ潜ってみると岩礁でなくても海藻の多い場所であれば底質が小石や砂であってもメバルは棲息しています。
それはメバルが好んで捕食する小エビやカニ、あるいは小魚が藻場に多く棲息しているためです。

この魚探画面では時間の経過とともにボートが流れ、底質がGRVL(小石)からSAND(砂)へ変化したことが表現されています。
底質判別機能では底質が解ってもその場所に海藻が生えているかどうかまでは不明です。むしろ魚探画面の海底ラインに注目した方が海藻の有無を判断できる可能性もありますが、それも海藻の種類や密集度合いによっても映り方が異なるため判別には熟練を要します。
当日、実際にメバルを釣ったタイミングはこの魚探画像を撮影する30秒ほど前でした。画面上では丁度、魚の反応が映っているタイミングで釣れ、それ以降はアタリが途絶えました。そのことからも画面に映っている魚がメバルである確率が高いと言えます。

ここで魚探の画面送りに関する説明を少々加えさせて頂きます。
魚探画面は各周波数(50キロヘルツ,200キロヘルツ)の画面右端の縦1列にボート直下の最新情報を表示し、時間の経過とともに画面が左の方へ送られていきます。この画面送りの速さは設定でき、画面上では「分時マーク」からも送りの速さが読み取れます。
分時マークは30秒毎にバーの色が反転するので、同色のバーの長さが30秒間のうちに画面が送られた長さとなります。
今回の魚探画面で説明すると、画面撮影から30秒ほど遡ったあたりで魚の反応は途絶えていて、それ以降はメバルが釣れませんでした。つまり底質判別機能ではSAND(砂)と表示されていても、メバルが好んで集まる海藻類が30秒ほど遡った辺りまでは続いていたものと推測できます。

春の訪れを感じるメバルは今が旬です。魚探を駆使して狙ってみると、釣りが一層楽しくなりますよ。

  • メバルを追う vol.5 釣果写真 ルアーやイワシエサの泳がせではもっと大きなメバルも狙える
  • メバルを追う vol.5 水中画像 メバルは群れを形成する魚で、遊泳層は海底から5メートルの範囲

映像は砂地に設置されたブロック漁礁付近で撮影したメバルで、潮上へ向きじっとしている状況です。メバルが活発に摂餌するのは主に夜間で、日中にスキューバダイビングで観察できるメバルの様子はこの映像のようにじっとしている姿が多くなります。
メバルが棲息するのは小魚や甲殻類が多く集まるところで、漁礁等のストラクチャー(障害物)周りや海藻類が多く生えている根周りが好ポイントとなります。魚群探知機ではこれらの特徴的な地形を捉えることは容易ですが、この映像の様に小魚が数多く群れているような状況では小魚とメバルを分離して捉えることが難しくなります。映像に映っている小魚はネンブツダイやキンメモドキであり、どちらもメバルが好んで捕食する対象魚に当たりますが積極的に追い回すようなことはせず、じっとしていることで小魚たちに安心感を与え、近寄ってくるのを待っているように感じられました。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。