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魚種ごとの反応

メバルを追う vol.6

この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

メバルを追う vol.6 GPS魚探映像 高周波側のアキュフィッシュ機能で体長表示されている単体魚がメバルです

ボートは風と潮に任せてゆっくり流しながら撮影(画面キャプチャー)したもので、魚探画面左側が周波数の50キロヘルツ、右が200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深9.9メートル
  • 海底には1メートルほどの凸凹があり、底質はRCKS(岩)
  • 海底から5メートルの範囲までに魚群および単体魚の反応が在る
  • 魚群反応は50キロヘルツの画面の方が濃い

画面内に点在する赤い数字は、アキュフィッシュ機能により得られた単体魚のサイズで、この単体魚こそがメバルです。

これまで何度か超音波と指向角について触れてきました。
例えば、「50キロヘルツでは指向角が大きく、200キロヘルツでは指向角が小さい」とか「指向角が大きい方が広範囲の魚をキャッチしやすい」といったざっくりした話だけを行なってきました。
今回はややマニアックな話をさせていただきます。

そもそも指向角は魚をキャッチできる範囲(角度)ではなく、送受波器(振動子)から発信される超音波の拡がり具合とその強さの関係を表現した数値なのです。
送受波器の正面(角度0°)方向にセンサーを設置して計測した時が超音波の強さが最大となりますが、正面に対してセンサーの設置位置を横方向へズラシ(角度を振っていく)と次第に超音波の計測値が小さくなっていきます。計測値が正面に対して半減した時点での角度の2倍を指向角と定めているのです。

また、この指向角は周波数のみによって決まるわけではなく、送受波器の発信部分の面積や発信強度分布の影響も受けることになります。
さらに詳しい話をすると、送受波器から発信される超音波は正面方向に向かうメインローブの他にサイドローブと呼ばれる斜め方向へ向かう超音波も発信され、特に水深が浅い所ではこのサイドローブによる反射波の影響が画面に表示されやすくなるのです。

実は今回の画面画像では50キロヘルツ側に大きな魚群のような反応が映し出されています。これはサイドローブを含めた広範囲から戻って来る反射波を統合的に表現したためで、実際のボート直下とはかけ離れた表示内容となっているので注意が必要です。
浅場での海中探知では50キロヘルツ側の表示情報に惑わされることなく、200キロヘルツ側から得られる情報にて釣り場を選定すべきという例です。

話をメバル釣りへ戻しましょう。
メバルはエサを求めて泳ぎ回るのではなく、エサの方から近づいてくるのを待ち続けることが多い魚です。
つまり、我々アングラーがメバルを狙う上では、我々の方からメバルが棲息する場所を探して近づいていく必要があります。
その上でも魚群探知機は不可欠なアイテムであり、表示画面の正しい解釈が求められます。

いよいよメバル釣りのベストシーズンを迎えます。釣って楽しく、食べて美味しいメバル釣りに挑戦してみてはいかがでしょうか。

指向角やサイドローブについての解説
魚探の仕組み「探知角度と探知できる範囲」

  • メバルを追う vol.6 釣果写真 塩焼き、煮付け、唐揚げなど様々な料理に適した旬の素材です
  • メバルを追う vol.6 水中画像 この画像にはメバル以外にもメバルが捕食するイサキの幼魚が多数写っている

ブロック漁礁付近に群れるメバルの映像です。どのメバルも同じ方に向いていますが、映像に写っている浮遊物の動きから潮が画面の右から左へゆっくり流れていることが確認でき、メバルは潮上に向いていることがわかります。
メバルは夜行性で主に暗い時間帯に積極的に摂餌行動します。日中においても激しい濁りで水中が暗い時には摂餌行動しますが、この映像の様に透明度が高い時にはあまり摂餌行動せずジッとしている傾向にあります。このように海底から浮いてジッとしている状況なら魚群探知機でも捉えやすいのですが、活性が低いので釣るのに苦労します。
水深30メートル以浅に棲息するメバルには標準和名のシロメバル、アカメバル、クロメバルの3種があり体色の特徴で付けられた名称ですが、正しく分類するには胸ビレ軟条数を数える必要があり、この映像だけでは正確に分類できないので”メバル”という総称で紹介しています。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。