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魚種ごとの反応

メバルを追う vol.9

この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

メバルを追う vol.9 GPS魚探映像 メバル狙いでは魚探画面に映し出されるベイトフィッシュらしき魚群の密集度にもヒントが隠されています

スパンカーによるエンジン流しにて0.3ノットの船速で流しながら撮影(画面キャプチャー)したもので、画面左側が低周波(50キロヘルツ)、右側が高周波(200キロヘルツ)で海中を探知したものとなっています。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深12.6メートル
  • 海底底質はRCKS(岩)
  • 高低差2~3メートルの海底起伏が存在する
  • 海底から約8メートルの範囲に魚の反応がある

このポイントにてサビキ仕掛けを降ろしたところ、ネンブツダイが鈴なりに釣れ上がりました。何度か仕掛けを降ろしているうちにメバルが掛かることもあったので、この画面に映っている魚群の正体はネンブツダイであると考えられ、そこにそれらを狙うメバルが混じっていると推測できます。水中画像は別の場所で撮影したものですが、たくさんのネンブツダイと数尾のメバルが写っています。この魚探画面を撮影したポイントも水中画像のような状況だったのかもしれません。

ネンブツダイは岩礁やストラクチャー(障害物)付近に纏わりつくように群れていることが多く、ジッとしていることがほとんどです。外敵が近くに存在していない時には群れの密集度が均一となりますが、外敵が存在する場合には魚探画像の様に魚群反応の密集度にバラツキが発生します。ダイビングで観察してみると、この水中画像の様にメバルがネンブツダイの上側に居ることもあれば、下側にいることもあるので魚探に映し出される魚群反応のタナの上側、下側の両方を探ってみた方がいいでしょう。

ネンブツダイの体長は5センチ程度ですが、その群れの密集状況によってはアキュフィッシュ機能による魚体長表示の様にあたかも大きな単体魚が存在するような数値表示がされることがあるので要注意です。
なお、低周波の画面では魚群表示が画面右端まで連なっていますが、高周波の画面では魚群表示が既に途絶えています。これは指向角の差異によるもので、ボートの位置と魚群が離れて行っても低周波探知は指向角が広い分、高周波探知に較べて魚群を捉え続けていられるためです。ただし、このタイミングで仕掛けを降ろしても魚群を外してしまう可能性が高くなります。仕掛けを降ろすタイミングは低周波表示よりも指向角が狭い高周波表示の画面から判断した方が魚群の近くに仕掛けを降下できる可能性が高くなります。

  • メバルを追う vol.9 釣果写真 向かって左側の魚体が白いほうがシロメバルで、右側の赤いほうがアカメバル
  • メバルを追う vol.9 水中画像 ダイビングで撮影したこの時はネンブツダイの大群の上にメバルが存在しましたが、この逆を観察したこともあります

ブロック漁礁付近に群れるメバルの映像です。どのメバルも同じ方に向いていますが、映像に写っている浮遊物の動きから潮が画面の右から左へゆっくり流れていることが確認でき、メバルは潮上に向いていることがわかります。
メバルは夜行性で主に暗い時間帯に積極的に摂餌行動します。日中においても激しい濁りで水中が暗い時には摂餌行動しますが、この映像の様に透明度が高い時にはあまり摂餌行動せずジッとしている傾向にあります。このように海底から浮いてジッとしている状況なら魚群探知機でも捉えやすいのですが、活性が低いので釣るのに苦労します。
水深30メートル以浅に棲息するメバルには標準和名のシロメバル、アカメバル、クロメバルの3種があり体色の特徴で付けられた名称ですが、正しく分類するには胸ビレ軟条数を数える必要があり、この映像だけでは正確に分類できないので”メバル”という総称で紹介しています。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。