魚種ごとの反応
「釣りは(フナ)鮒に始まり、鮒に終わる」という名言があるが、海のボート釣りに限定すれば、初めてのターゲットはシロギスだった。・・・という人が多いことと思う。シロギス釣りはボート釣りの基礎中の基礎ターゲットと言えよう(もう一つ、サビキのアジ釣りから入門する人も多いが)。ビギナーからベテランまで楽しめるシロギスは、簡単でありつつも、本気で極めようとするととても奥の深い魚でもある。
というわけで、今回、魚探を活用した、シロギスの狙い方を紹介しよう。水温が高い初夏から秋口に掛けては、水深2~15mくらいのエリアがポイントとなり、砂地であれば、当てずっぽに仕掛けを投入してもそれなりに釣れるものだ。しかし、水温が低い時期は、釣り場によっては水深40m以深まで落ち、砂地であってもよく釣れるポイントとアタリの少ないポイントがある。つまり、ポイントの選択が大きく明暗を分ける奥深さがある。
シロギスが好む底質は、砂や泥。さらに、ただ平坦で広い砂地よりも、窪みやカケ上がりなど、凹凸のある場所を好む。泳層は海底から50cmくらいまでで、2~50尾の群れで行動している光景をスキューバダイビングでよく見かけた。シロギス自体、魚体サイズが小さく、前述したように、魚群を構成する数が少ない上に、泳層も海底付近となるため、魚探でシロギスの反応らしきを見つけるのはかなり難しい。しかしながら海底の底質、形状、そして砂泥底に点在する小さな根などを見つけることにより、シロギスの好ポイントもある程度は予測がつく。
魚探を用いたポイント探しで注意していただきたいのは、ディスプレイに表示された海底ラインの凹凸。砂地のわずかな窪み(ヨブ)などを好んで集まりやすいとは言え、揺れの影響で、平らな海底も凹凸のノコギリ状に表示することがある。この画像を見て、好ポイントと勘違いしないことだ。判別が困難な場合は、試しに仕掛けを投入して、窪みを察知する一手もおすすめ。できるだけ遠方に投げ、オモリが海底を引きずるようにゆっくりと巻く。そして竿先にわずかな重みを感じたら、その場所に窪みがある(あるいはカケ上がり)ということになり、集中的に狙うと数がそろう好スポットになる。
数より型にこだわるキスマニアなら、とにかく砂と根が入り混じった場所を見つけるのが近道だ。その根と砂地の境目は「根際の砂地」とも呼ばれ、良型シロギスが集まる好スポットになっている。(水中画像参照)図は、根際の砂地が魚探ディスプレイに表示されたときのイメージだ。夏場はシロギス以外にも、良型のカワハギやキュウセンが交じることもあり、細身のキスタックルでスリリングなヤリトリが楽しめる。
小さな群れで行動するシロギスは、潮汐による潮流の影響などで、時間とともにエサを探し求めながら小移動を繰り返す。そのときの主な「通り道」が、以上に記したヨブ、溝、カケ上がり、そして根際の砂地なのである。魚探を駆使して地形を読みとり、こうしたベストポイントを探し当てていただきたい。
記事:小野信昭さん 協力:隔週刊つり情報
岩礁帯と砂地の境目付近で撮影したシロギスの映像です。警戒心が強く、初めのうちは海藻に隠れてなかなか姿を現さなかったのですが、時間の経過とともに姿を見せるようになったので撮影することができました。サイズは25センチ級の良型でした。
エサらしきものを見つけて口に吸いこんだり、吐き出したりを2~3回繰り返しています。違和感があったのか?お口に合わなかったのか?定かではありませんが、釣りの仕掛けに対しても違和感があれば吐き出してしまうことが想像できます。
群れで行動することが多いのですが、見通しのいい場所ではマゴチやエソ、ヒラメといった外敵から狙われることがに多いためか、なかなか良型には出あえません。その点、この映像のように海藻が生えている場所では外敵から身を守ることができて長く生き延びられるためか、良型に出あえる確率が高くなります。
FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター
北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。