魚種ごとの反応
今回はGP-1971Fにトゥルーエコーチャープに対応した送受波器(B150M)を接続して得た探知画像を元に解説していきます。
このGPS魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?
この魚探画像は、スパンカーを張って舳先を風上側へ向け、推進力を調整することでラインが立つようにボートを潮流に乗せて流し、タチウオを狙っている時に撮影(画面キャプチャー)したものです。
チャープ方式とは、一つのパルス内で周波数を徐々に変化させ送波する方式です。魚にあたって反射し戻ってきた超音波に対してパルス圧縮処理を施すことで、パルス幅が短く、強いエネルギーの超音波を送受したのと同じ効果を得ることができます。そのため高い分解能力を有する映像が得られるという特徴があります。
今回のGPS魚探画面でもタチウオの群れが高い分解能力によって単体魚としても捉えることができることがお判りいただけると思います。
今回表示されたタチウオの反応は画面部分の右端から左端に掛けて連続的に映し出されています。このような反応表示となるには以下のような3つのケースが考えられます。
1つ目はタチウオの群れの規模がとても大きいケース。タチウオはエサとなるベイトフィッシュを追ってゆっくり移動していき、ボートも様々な要因によって流されていきますが、画面に連続的に魚群が映し出されるということは群れの規模がとても大きいことが考えられます。
2つ目はタチウオの群れが移動していく方向と同じ方向へボートが流れているケース。群れの規模が小さくても、タチウオの群れとボートが流れる方向が近く、移動速度が同等の場合には反応が連続的に表示されます。
3つ目はタチウオの群れが移動せずに停まっていて、ボートも同様に停まっているケース。一見、狙いやすい状況に思えるのですが、このケースでは潮が止まっていることが多く、たとえ魚群反応が映り続けていてもタチウオの活性が低いことが多いケースとなります。
タチウオは魚探で捉えやすい魚ではありますが、それはボート直下の超音波の指向角内にタチウオが存在してくれた場合に限ってのことになります。むろんボートにソナーを装備し、自船に対してどの方向にタチウオが移動していくのかが分かれば追跡は可能となりますが、ソナーを装備していないボートでは追跡は困難です。
とはいえ、魚探画面に魚群が映り続ける時間やボートが流れる速さ、方向の情報からタチウオの群れの規模、活性等を推察しながら狙ってみると、”釣れた”ではなく、”釣った”を実感でき、より一層楽しめると思います。
FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター
北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。