魚種ごとの反応
ヤリイカ釣りにおける魚探の活用法を紹介しよう。
秋のヤリイカは大陸棚の縁にあたる、水深100~150メートルの海底地形に変化がある場所が狙い目となる。
私が使用する魚探の出力は600W。魚探の能力をフルに発揮できるよう、送受波器(振動子)は船底を貫通させるスルーハル方式で取り付けている。
この魚探の場合、ヤリイカと思われる反応は海底から15メートルくらいの範囲に「淡い水色の反応」として、点々または細かいスジ状に映ることが多い。
淡い水色というのは、かなり弱い反射を示す色。反応の濃さ、つまり超音波が群れに反射し戻ってくる強度を茶色から青まで16段階の色で表現する中で割り当てられたうちの1色である。この色分けは本機種の場合であり、他機種では別の色となるので解説書で確認してほしい。
また、魚探機能の一つである「海底拡大モード」を使えば、海底付近のわずかな反応も見つけやすくなる。
とはいえ私自身の経験からいうと、この淡い反応なら絶対、とはいえない。同様の反応を見つけては仕掛けを投入し、狙い通りにヤリイカが釣れたこともあるのだが、イカが乗ったとき魚探画面を確認しても、何も映っていないことも多かった。
また、ヤリイカの反応だと思い込んでいるものも実はイカでなく、イカが追い回しているベイトフィッシュの反応である可能性も捨てきれない。
しかしイカそのものの反応を捕らえることができなくても、繰り返し釣行することで魚探画面に映し出されたベイトフィッシュ、海底地形などからヤリイカが釣れるポイントを読めるようになればしめたものだ。
ボートフィッシングは、垂らす仕掛けの数が少ないため、イカさえいれば高確率で乗ってくるのが利点。釣り船でのヤリイカ狙いと違い、他人より少しでも早く仕掛けを下ろさなければならない・・・といった緊迫感も必要ない。
同じく中深場で狙えるスルメイカと較べると群れの移動が遅いせいもあり、手前船頭のボートフィッシングでもヤリイカは比較的狙いやすい。そこで、1杯でもヤリイカをゲットしたら、山ダテあるいはGPSでポイントを記録しよう。
ヤリイカの回遊範囲はスルメイカより狭いようで、アタリが遠くなっても、再び同じポイントに回ってくる可能性が大なのだ。1杯でも釣れたら、ヘタに群れを追い回すよりも付近で粘り続けたほうが好結果となることも多い。再びヤリイカが回遊してくると信じて粘ってみよう。
画像はGPS魚探のディスプレー画面で、左側がGPSプロッタ表示、右側が魚探表示となっている。
GPSプロッタ側にはヤリイカの実績ポイントをプロットしてあり、ボートで付近一帯を流していることが航跡として映し出されている。このような実績ポイント周辺を丹念に攻め続けることで追釣できる確率はアップする。
ただし、それはヤリイカが安心して捕食する状況下に限ったこと。ヤリイカの天敵となる大ダイや大型青物、さらにサメなどの出現によって、状況が一転する場合もある。
ボート上ではただ単にシャクリを繰り返して乗りを待つだけでなく、天敵たちが魚探画面に映らないかどうかのチェックもお忘れなく。天敵らしきが現れて乗りがピタリと止まったら、しばらくその場を離れたほうがいいだろう。
あるいは逆に、生きたヤリイカをエサにして大物を狙ってみるのも夢がある。
記事:小野信昭さん 協力:隔週刊つり情報
FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター
北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。