魚種ごとの反応
この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?
スパンカーにてボートの舳先を風上側へ向け、ライン(釣り糸)が立つように推進力を調整しながら潮に乗せて流しました。
魚探画面の左から順に周波数の50キロヘルツ、200キロヘルツそしてAスコープ表示となっています。
この魚探画像はヤリイカを掛けた釣り場にて撮影(キャプチャー)したものです。
水深が深い釣り場では海底付近の魚群反応を見つけても仕掛けの降下に時間が掛かり、ややもすると仕掛けが海底に到着した時にはお目当ての魚群がその場から泳ぎ去っているということもありえます。
たとえ移動が少ない根魚類であっても仕掛け降下に時間が掛かるとその間にボートの位置が変わり、魚の近くへ仕掛けを降ろせなくなるということもありえます。
つまりボートと魚の相対的な位置関係が変わると魚のもとへの仕掛けの降下が大変難しい状況となります。
これまでにも何度か魚探の画面表示の基本として、ボート直下の最新情報が画面の右端縦一列に表示され、随時その表示内容が画面左側へとスクロールしていくことを述べてきました。
今回は画面の左側へスクロールした反応画像が何分前に魚探が捉えたものなのか? を知ることのできる”分時マーク”について解説します。
魚探画面の最上部に同じ長さで繰り返し表示される分時マークは1色分の長さが30秒の時間の経過を示しています。つまり、これらを数えることで画面に映った反応が何分前に捉えたものなのかを知ることができるのです。
今回の魚探画面では海底付近のイカらしき反応の左端部分が画面右端に対し左方向へスクロールしていった移動量が分時マークの約5倍なので、時間は 30秒 × 5 = 2分30秒と読み取ることができます。つまり、イカらしき反応を捉えてから既に2分30秒も経過したということになります。
この時はイカらしき反応表示が画面右端まで連なっているので現在でもボート直下にイカらしきターゲットが存在し続けていることになりますが、こんな好条件ばかりではありません。
前述したようにボートと魚の相対位置が変化すれば魚がボート直下から外れ、反応が途絶えてしまうことになります。
繰り返しになりますが、水深が深い釣り場で底物を狙う場合には、魚探で反応を捉えてからすぐに仕掛けを降下する必要があり、反応が画面左側の方へ移動してからでは遅すぎます。
よりクイックアクションを実現するためにはAスコープ機能の活用が有効で、Aスコープにイカらしき反応が表示されたらすぐに仕掛けを投入することでヤリイカの群れの近くに仕掛けを下ろすことが可能になります。深場のイカを攻略する最も有効な手段です。
FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター
北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。