魚探の仕組み
魚探では超音波を使って海中を遊泳する魚群などを探知します。超音波は船底に設置した送受波器から発射し、海中からの反射波も同じ送受波器でキャッチします。送信と受信は交互に行いますが、送受波器での送波と受波の動作は同じユニットを兼用しています。これは無線機のアンテナと同じような役目があります。送受波器は船底に設置しますが、無線機のアンテナと同じような役目をもっています。送受波器から超音波を送信したり、送受波器で海中からの反射波を受信します。送受波器の中には振動子とよばれる平たい素子が入っています。振動子の両端に電気信号を送り込むことで振動子面が震えて、海中へ超音波を発射します。また逆に、海中から反射して返ってきた超音波信号を振動子面でとらえ、電気信号に変えて魚探の受信回路へ送り込む役目があります。
振動子は電気信号を取り出すためのリード線が付いていますので、むき出しのままでは扱えません。このためプラスチック、ゴムや金属などで周辺を包み込んでモールドされています。このモールドされた状態のものを送受波器とよんでいます。送波と受波を兼ねるため送受波器といいます。通常、送受波器には1つの振動子が入っていますが、製品によっては2つの振動子が組み込まれているものもあります。前者は1周波数対応のものであり、後者は2周波数対応のものです。プレジャーボート用の送受波器では、1ユニットで50キロヘルツと200キロヘルツの2周波数が使えるものが使われています。この場合、あまり大きな送信出力の魚探に対応したものは市販されていません。
漁船用の送受波器はもっともっと大きなものがあります。振動子も異なった素子で作られています。送受波器は大きな黒色のゴムでモールドされていますので、漁師さんは「マグロ」と呼んでいます。また、小型漁船では長いパイプの先に送受波器を設置し、これを舷側からぶら下げることや船底部分に設置するところから「アシ」とも呼んでいます。
プレジャーボート用魚探の送受波器には、丸型と角型があります。この中に振動子が内蔵されています。写真の送受波器は50キロヘルツと200キロヘルツの2周波数対応型です。直径わずか7センチとか10センチ程度の小さな受波面で反射信号をとらえます。
神戸市須磨区在住
「ボートフィッシング」では、「すぐに役立つ電子機器解説」の連載を持つ。
著書:「電波航法機器」「電波機器と超音波機器」「魚探・GPS100%使いこなしブック」他